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山梨から始め、現在は久留米、能勢のオオクワを中心にブリードしています。
摩耗の話が出ましたので、ちょっと専門的な話になりますが、私なりにまとめておきます。
歯車の歯面強度と曲げ強度の話です。
言葉を砕いてはありますが、難解な話ですから、工学に興味がある方以外、スルーしてもらっても結構です。

ラックと歯車は、基本的に面で当たっています。
その面の面積が大きいほど、大きな力を受けられます。
φ20のラックと、φ25のラックでは、当然受けられる面積が違ってきます。
面積はφ20で44.7mm^2、φ25で67.4mm^2となり、1.5倍ほどの差となります。
面積に力を掛けた数値は、磨耗量と比例します。

それ以外に歯の曲げ強さと言う要因もあります。
曲げ強さとは、簡単に言えば、歯が折れるか折れないかの強さです。
これが、φ20のラックと、φ25のラックでは、約1.9倍の差があります。
磨耗したって、何年も問題は出ませんが、折れると即使用不可になります。
この差が、Type-3とType-SSSの許容荷重の違いと言っていいでしょう。
φ20のラックと、φ25のラックの許容荷重の差とも言えます。
Type-20、Type-25と言うような表現の方が良かったかもしれません。
歯車の歯面の強さや、曲げ強さは、材質によって決まっています。
こればっかりは、材料の基本的な性質ですから、変えようがありません。
もし、焼入れなどをして、歯面の強さを高めた場合、硬さはアップし磨耗には強くなりますが、逆に曲げは弱くなり、もろく折れ易い歯車になります。
折れるより、磨耗した方が長持ちしますので、愚策でしょう。
焼き入れをしたいとすれば、荷重は小さくても寿命を高めたい場合になら、あり得ます。

あいまいなのは、最大荷重ですね。
いわゆる壊れる荷重です。
最大荷重は、普通、許容荷重の数倍あります。
ただ、最大荷重と言うのは、工学的に設計値として、使用されることはありません。
材料の質や、製作精度、使用環境によって左右されますので、普通は安全率を考慮した許容荷重で計算します。
瞬間的な最大荷重でスペックを書いたら、Type-3(φ20タイプ)で400kg、Type-SSS(φ25タイプ)で、800kgなんて表記もできなくはないです。
測定することはできませんが、おそらく自分ではそのくらいの力を、時々出していると思っています。
テストしてOKだったとしても、設計上、何ら根拠のない数値になりますから、工学的には意味のない非公式な荷重ってことになります。

そんなわけで、Type-3でも、十分すぎる能力は持っています。
Type-SSSの良さは、1400ccをいかに早く詰められるか、それだけに特化したようなマシンです。
贅沢なマシンですわ。

普通に詰めるだけなら、1400ccでも、Type-3で十分ですよ。
軽くて小さくて使い勝手のいいサイズですしね。
最初の1台なら、使い易いType-3をお勧めします。


【2015/09/22 22:29】 | 2015年プレスマシン
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こんばんは
庚午 虫蔵
歯が摩耗すると、空回りして円滑な詰めが出来なくなる印象があります。
僕のところでは昔の三階松さんのは歯が舐めてしまい、スカスカマシーンです(笑)

実用的な詰めに歯の寿命を縮める詰めは
絶対に必要ないと思ってますが。
硬く詰めることに躍起になって
菌糸の本来の持ち味を出せなくなることのほうが問題です。
スペック上、余裕ある設計は作業効率的に欠かせないですが。


Re: こんばんは
ashtaka
虫蔵さん、こんばんは。

どれだけ詰めると、歯がなめるほどになるのでしょうか。
私のマシンは、そこまで歴史がありません。
どれだけ保全しようが、摩耗は進みますから、いつかは向き合わなければならないでしょうね。
10年くらいは持って欲しいものですけどね。

確かに、最近の堅詰めすればいいみたいな風潮は気になりますね。
その銘柄と粒子の粗さに合った詰め加減が重要だと思います。
大は小を兼ねる的なイメージでいましたが、使いやすさは微妙ですわ。
機械工学ばかりじゃなく、人間工学をもっと考えた方がいいかもね。



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